日常で感じる事〜三連休の日本から〜

このところの私は性差別に少し敏感だ。
あらためてそう感じたのは、早朝の羽田空港での事だ。
私はカリフォルニアに拠点を置き生活しているので、一時帰国の日本の生活は貴重である。
出身が東京の自分にとって、故郷がある人を羨ましく感じていたが、その私にも故郷に帰って来たと言えるようになって随分経った。
国内線にはなかなか乗る機会がない。
義理母様が東京に移り住んでからは特に乗る機会は減った。


私達夫婦が愛して利用しているエアラインのファーストクラス・チェックインカウンターで違和感を感じた。
チェックイン係りは皆女性だ。
ゴルフクラブ、スーツケース、チャイルドシート、どれも女性の力では移動する事さえ大変だと一目で分かる。そしてその荷物はお客様の大事な私物である。
係りの女性達のその装いは有名デザイナーが作ったスカートにヒール。
体型も私が日頃見かけているアメリカのエアポートで働く女性達の比でない。
ここは一体どういう空間なんだろうか。
ファーストクラスのチェックインカウンターとは気品と安心感、言い方をラフにするなら差別感を満足させる空間であるべきだ。
ならばこのカウンターにはパタパタとヒールを鳴らし、チェックイン後には体力よりずっと重い荷物を裏手に運ぶ女性を置くより、静かに落ち着いた男性にした方がずっとセレブ感が出るのではないか?
女性が荷物を運ぶ仕事に適していないと言っているのではない。運ばせるなと言っているのではない。
こういう場所に一人も男性が居ず、
女性が対応する事で客に優越感をもたらすだろうと言う体制が見えたのだ。
乱暴な言い方をすれば、未だにこの国は表舞台に於いても女性はホステス扱いなのかと感じた。

先日のセリーナ・ウィリアムズ対大阪なおみのUSオープンでも感じた事は、あのグランドスラムを何度も勝ち取り、テニス界の女王と言われるセリーナでさえ、性差別に悩みながらキャリアを積んで来たという事だ。
私はカリフォルニアから成田へのフライトでリアルタイムのゲームをミスしたが、その後目にした日本での報道に不快を感じた。
大阪なおみに対するリスペクトのないセリーナやそのファンにも憤りを感じ、審判や全米テニス協会アダムス氏のセリーナを讃えるコメント、サンバイザーを下ろし、立派に試合をし優勝した大阪なおみに、勝ってしまってごめんなさいと言わせたその雰囲気に怒りが起き、何故日本人は、日本のテニス協会はもっと抗議しないのか。

日本代表の大阪なおみを大切にして欲しいと抗議して欲しかった。

日本とアメリカではこの試合に対しての批判は異なる。
もちろんセリーナの態度はアスリートとしては最低だった。
が、彼女が審判に抗議した背景には、
彼女が受けて来た性差別があるからだ。
言い加えれば、彼女はアメリカではマイノリティーだ。今や上位選手にマイノリティーは少なくないとは言え、アメリカでさえ、アメリカだから未だこの様な差別が残り、彼女の様な絶対的女王をも苦しめている。
男性選手が同じように審判に抗議し、ラケットを叩きつけたら同じ様にペナルティーになったのだろうか。
新聞やメディアは何度も彼女の怒りの姿を取り上げたが、男性選手だったらどうだろうか。
セリーナはヒステリーだと言われ、
男性選手は試合に対する熱い情熱が彼のテンパーに触れた、と言うのだろうか。

このところの私は少し神経質になり過ぎている。

今日から2週続けて3連休、シルバーウィークの日本。
羽田空港を飛び立つ時は雨が強くなっていた。
私は東北に旅する。
森の中で、自然に触れて自分の為に少し時間を使おう。